B'zの松本がギターのインストアルバムで全米デビューだそうな。

俺自身はB'zみたいな開き直りの産業ロックなんか大っキライなんだけど(笑)、考えてみれば、真っ当にマーケットと向かい合っている日本のHR/HMって、今やB'zくらいなんだよね。LOUDNESSとか、頑張っている人達は確かにいるんだけど、中学生のガキに「ギター」という楽器を印象付けるほど現在の音楽シーンに影響力を持っているわけではないしなぁ。(それが一概に悪いことだとは思わないけど)

出自がTM Networkのバックバンドのギターで、事務所はB-ing、デビュー当初はユーロビートを基調としたサウンドという芸能度満点、ファン層も音楽好きというよりはイマドキの若いモンって感じだったこともあり、マーケットからはすごく注目されても音楽的には完全無視、あるいは無かった事にされているあたりが彼の不幸。「7th Blues」とか、ハード系ブルースロックを探求した作品とかもあるのにね。真剣に音楽的に掘り下げているような記事や評論は見たことないし。あっても例のパクリ疑惑(っつうか、完全に・・・)を元に音楽におけるオリジナルとは何か?みたいな普遍的な議論になったりとか。

事務所自体が傾いてきたため、安直なベスト盤が乱発されてるけど、本人達はここらへんをどう折り合いつけているのか、あるいは最初からこうありたかったのか、B'zの存在意義について本人達にぶつける形でインタビューしたら90年代のJ-PopとJ-Rock、両方に跨ったシーンの総括、そしてポップミュージックの到達点といった面白い文章になりそうな気がする。渋谷陽一氏なんか、こういういかがわしい構造化された産業を認めているわけだし20世紀の日本のロックを振り返る意味でもとりくんでほしいと思う。

何にせよ、現在の日本のHR/HMシーンは壊滅状態に等しい。セックスマシンガンズの開き直り方なんか見てて悲しくなってくる。陰陽座にいたっては、その開き直りを思いっきり真に受けて影響されてしまった感が漂っるし。あとは元イエモンのヒーセの新バンドくらいか?ニルヴァーナとかを源流とするグランジHR/HMが取り込まれてしまった今、こういうパンクを通過していないアーティストってかなり貴重。天然記念物モノ。そういう意味で、あのマッチョな肉体、厚ぼったい唇など、外見的にも松本はハードロックの正統派継承者であると言える。ぜひ頑張ってほしい。


俺は嫌いだけどね。