●7/30 Lou ReedFuji Rock Festival; Green Stage

Lou Reed、私の大好きなアーティストの一人です。去年の来日公演、大阪厚生年金会館にも行きましたが、バンド・メンバーに太極拳の師匠(!?)なんかがいたり、ドラムレスの編成だったりと、はじまるまではけっこう微妙だったのですが、その師匠がポエトリー・リーディングに合わせて床を踏み抜く音の響きなど、「静」と「間」を最大限に生かした美しいアンサンブルは本気で感動しました。

でも・・・これはフジロックで聴きたい、っていう性質のものではなかったです。去年のツアーとは編成も変わり、生ドラムも入ったのですが、ああいったお祭りのハイな雰囲気の中、ゆったりと情緒に訴えかけるメロウな曲を演奏されても・・・・。現実問題として、「間」を最大限に生かしたアレンジでは、隣のステージの爆音がガンガンに響いてきて雰囲気は台無し、折しも雨が本格的に降り始め、Lou Reedの前、Pixiesのステージでモッシュしてた連中の体温は下がる一方で、ステージ前からはどんどん人が流れ出す状況。ファン以外でもわかるようなVelvet Undergroundの1stや最高傑作“Transformer”からの曲を演奏していればいちげんさんの喰いつきも良かったかもしれませんが、セットリストは濃いいファン限定で楽しめそうな渋い選曲。これではフジロック初日の夜、ガンガン踊って楽しもう、という客には・・・。

そもそも、都会の裏側をセンシティヴに描くミュージシャンを山奥のロック・フェスで観る、っていうのが・・・・かもしれませんが、個人的には、Lou Reedフジロックで観るとすれば、ヘッドライナーとしてよりは、収容人数的には難しいかもしれないものの、Field Of Heavenの大トリ、あるいは、オールナイトのステージのラスト、日の入りに合わせた時間帯に、ぼんやりしながら観るようなステージだと今回のような酷いことにはならなかったと思います。現に、Lou先生、ステージ上で傍目にもわかるくらい、モニターの音的な面や周囲の環境、客の反応について終始ご立腹でした。