●9/26 Soul Flower Union“極東戦線異状なし!?ツアー Vol.2”@心斎橋クラブクアトロ
●9/28 Soul Flower Union“極東戦線異状なし!?ツアー Vol.2”@名古屋ell FITS ALL


詳しくは6月28日付のエントリーを参照していただきたいのですが、“極東戦線異状なし!?ツアー Vol.1”の大阪公演では中川の絶妙な引き具合がバンドのアレンジ・アンサンブルの格段な進歩を生み出しており、伊丹英子欠場以降、はじめてのピークが来ていることを確信させてくれました。そのアンサンブルで非常に大きな役割を担っている存在が樋野展子さんのSAXで、それこそ3rdアルバム“エレクトロ・アジール・バップ”の頃、ほぼ正式メンバーと化していクラリネット大熊ワタル氏級の存在感を示しているのですが、その樋野さん、諸事情により関西地区のみでしかLIVEに出演なさらないんですよ。じゃあ、その他の地域ではアレンジはどのように変化しているんだろう?そんな素朴な疑問から、今回のツアーは大阪と名古屋に参戦してきました。


LIVEの内容自体は6月の“極東戦線異状なし!?ツアー Vol.1”を正常発展させた内容で、1年前くらいから溜まり始めた未音源化の新曲群をメインに、過去の楽曲のちょっとしたリアレンジを絡めつつ、といったセットリストでした。ヒートウェイヴ山口洋をゲスト・ギタリストに迎え、レコーディングを行っている、ということで、これらの楽曲がほぼ完成形に近づいているのがよくわかります。実際、“神だのみより安上がり”なんか、2003年の春季ツアーではタイトルになった割にあまりにも雑なアンサンブルで「・・・」状態だったのですが、1年半たった現在では、リズムがグッと引き締まってずいぶん洗練された印象があります。このように、できたてホヤホヤの新曲を躊躇することなくじゃんじゃんセットリストに組み込むことにより、曲が「成長」〜「完成」していく過程が楽しめるのはソウルフラワーのLIVEの大きな見所のひとつであることは言うまでもありません。

また、「完成」、すなわち、音源が発表された後も、サポートメンバーの変化やマンネリ化(苦笑)などにより、時として新アレンジになったり、ジャムセッション風の前奏が付加されるなど、「発展」過程まで楽しめてしまうので油断もスキもないのが凄い!

今回のツアーに関して言えば、“荒れ地にて”のイントロにて地獄でもない 天国でもない 旅の途中の 人よ・・・奥野真哉大先生のヴォーカルでボ・ガンボスの“あこがれの地へ”が歌われ、サビのメロディの元ネタの暴露がメンバー自身のよって行われるなど、非常に面白いリアレンジが行われていました。

(念のため説明しておきますが、“荒れ地にて”が収録されたアルバム“SCREWBALL COMEDY”は夭折したどんと氏への追悼アルバムであり、件の“荒れ地にて”は元ネタの“あこがれの地へ”へのアンサーソングで、間違っても「パクリ」とかではありません。もっとも別の曲では明白に「パクリ」をやってますが・・・笑)

そのリアレンジに関して、最初に書いたように樋野展子さんが大きな存在となっているわけですが、やはり大阪と名古屋、ずいぶん音的にも変化していた気がします。

特に、6月のツアーからディレイ・ギターのカッティングが強調され、BPMも少々ユルくなり、レゲエ的な雰囲気が格段に強まった“戦火のかなた”では、大阪ではオクノ先生のオルガンとのユニゾンで鉄壁の厚みのある音で荘厳な響きを聴かせてくれる「足し算の音楽」としての完成形を、反対に名古屋のほうではシンプルな音色で、明朗簡潔に聴かせるレゲエ本流に則った「引き算の音楽」としての完成形を観る事ができ、もしも、私がライヴ盤のディレクターとしてテイク選択の立場に立つならば、それこそ両方収録してしまいたいほどの二面性を持ち、しかもそれぞれ非常に完成度が高いという最高の名曲であると思いました。

逆に、“うたは自由をめざす!”ではSAXソロの部分はオクノ先生がキーボードの音色ホーン系のプリセットに切り替えて演奏していましたが、これはかなり萎えてしまったかも。けっこう狙ってホーン系の中でもチープな音色を選択していたように思えましたが、どうせ生SAXに勝るものはないと最初からわかっているなら、樋野さんのSAXをサンプラーからポン出しで流せば雰囲気でるのになぁ・・・と思ったり。あ、でも、それだと、その時々で変化するBPMに追従し難いか。


樋野さんの存在以外の面で感じた大阪と名古屋の違いとしては、名古屋のほうが貪欲に盛り上がっているなぁ、とも感じましたねぇ。ここ数年、Soul Flower Unionとして年4回、季節ごとにツアーを行っているわけですが、これは東京・大阪の2公演が基本で、名古屋に来るのは年に1回〜2回、関西に関しては、各種イベントやモノノケ・サミットでのLIVEなどもあります。関西地区の大学生である自分の場合、それこそ関西でのソウルフラワーのLIVEは完全制覇するつもりで足を運んでいるので、音源化されていない新曲群も既に覚えていっしょに歌えてしまう勢いだったりするのですが、そんな俺的にはおなじみのナンバーでも、名古屋ではまだ演奏されたことがなかったりするため、観客がかなり集中して聴き入っているのがよくわかるんですよ。“海ゆかば山ゆかば踊るかばね”などの定番ナンバーも大阪では「マンネリだ」なんて言われちゃったりしているにもかかわらず、名古屋では「この曲で踊るために来たんだ!」とばかりにみーんな激しく踊り狂っていたりとか。

そういう意味で、俺なんか死ぬほど恵まれたファンであることは間違いないわけで、何度も観ることができている分、変に批評的な見方をするのがクセになってたわけですが、ソウルフラワーの本質的な魅力を、名古屋の観客の純粋な反応を通して再確認できました。今年も恒例の“年末ソウルフラワー祭り”が東京・大阪であるようなので、今回は後ろでふんぞり返って観るのはやめて、久しぶりにモッシュ・ゾーンに突撃しようかな、と思ってます。


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<参考LINK>

●魂花時報 Soul Flower Union 公式WebSite http://www.breast.co.jp/soulflower/