●9/11“The Cover”@新宿LOFT
出)仲野茂(ANARCHY), 柴山俊之(ex.Sonhouse), 増子直純(怒髪天),
  大木温之(THEピーズ), 鮎川誠・Sheena(Sheena & The Rokkets),
  山口洋(HEATWAVE), 内藤幸也(ARB), KASUGA(ラフィンノーズ),
  渡辺圭一(JUDE/HEATWAVE), ウエノコウジ(Radio Caroline/ex.Thee Michelle Gun Elephant) 他


アナーキー仲野氏がプロデュースする「気の合うミュージシャン同士、バンドの枠を超えて好きな曲をやろうぜ!」という1987年から続く伝統のイベント。上記以外にも、名うてのロック・ミュージシャンが勢ぞろいして、普段はなかなか聴けない楽曲を楽しむことができました。

どのバンドも即席ユニットとは思えない素晴らしい演奏だったのですが、増子直純×内藤幸也×ウエノコウジ×池畑潤二によるARBルースターズのCoverが個人的にはベスト・アクト賞でした。非常に強烈なプレイをするタイプの方々ばかりで構成されている中、やはり増子直純はやはり増子直純だった(笑)演歌並のコブシを利かせたヴォーカルで楽曲を増子色に染め上げていました。

石橋凌の歌詞・ヴォーカルはなまじ感情的な色合いが強いため、歌い方の微妙なさじ加減によってはオヤヂのカラオケよろしく、「ギャグ」の領域に突っ込んで自爆してしまう可能性が高く、テンションの高さの中に、どこかしら客観性がないと上手く歌えないというある意味、非常にレヴェルの高い唄なのですが、増子氏はそんなものおかまいなしに、ぶっちぎって高らかに歌っていました。折りしも、歌ったのは“OK! OK!”という曲。「ギャグと取ってもらってもOK、でも俺はこの曲が真面目に好きだからこうやって直情的に感情とコブシを利かせて歌うんだ、OK?」とそんなメッセージすら感じ取ってしまいました。(って、エーちゃんかい!・笑)

そして、今回の“The Cover”で最も注目となったのがSonhouseの再結成。元々、仲野氏が「頭脳警察Sonhouseを再結成させたい!」という企画が二転三転して即席ユニットによるCover大会という趣向になったとは聞いていましたが、菊・鮎川誠氏らを口説き落としてSonhouse名義で演るとは思ってもいなかったのでサイドGt.がオリジナル・メンバーではなく下山淳氏だったのが残念ではありますが、この目であのSonhouseを観ることができるなんて夢のようでした。

その中でも特に凄かったのが鬼平氏のドラムで、その場を一気に70年代の福岡へタイムスリップさせるかのような全盛期の音源と全く遜色ない重厚なリズムをSonhouseで聴かせてくれた上、仲野茂ユニットでは、じゃがたらの奇天烈な変拍子までバシンと叩き出していました。ミュージシャンとしてはずいぶん長い間表舞台からは遠ざかっていて、去年、大江慎也のUN結成で電撃復活を遂げた鬼平氏ですが、我々が思っている以上に幅広い音楽性を持った方なのかもしれません。今度、UNレコ発LIVEへ行く予定なのですが非常に楽しみです。