●10/3 サイキック青年団“サイキック・ミーティング '04”@京都円山公園野外音楽堂
 出)北野誠竹内義和板井昭浩

たまには気分を変えて、お笑い(?)のライブの感想なんかを書いてみたいと思います。毎年恒例となった、白昼堂々あることないこと言いたい放題の恒例円山野音イベント。実は一時期、主催者として働いていたことがあったりしたのですが、今年は数年ぶりに純粋な観客として参加してみました。

普段はあんまりTVも観ないし、芸能界事情にも疎い人なもんで、「お笑い」の観客としての眼は持ち合わせていないからネタがどうのこうのとか、笑いの面白さについての評価はできないので単純明快簡潔に感想を述べさせてもらうと、ただただ、「愛」に満ち溢れたイベントだったと思いました。

サイキック青年団”について、かいつまんで説明すると、大阪ローカルのラジオ番組で、北野誠氏が芸能界の裏話やウワサを硬軟とりまぜながらざっくばらんにトークする番組で、あまりにアブナいネタはイニシャル・トークで話し、リスナーはそれを推理して楽しむ、という番組なのですが、イベントでは放送できない部分をバンバン実名で喋るという趣向になっており、しかも、円山野音のライブは観客からの質問、例えば俳優の××はホモですか?など、ガチンコの質疑応答形式でトーク・ショウを行うという凄まじい内容です。

「それのどこが愛に満ち溢れとんねん!」という感じですが、何が凄いって、出演者の方々の質問に対する受け答えが感動的なんですよ。ネットに書いても当たり障りのないネタを例に挙げると、ある観客の質問「なぜ朝日放送は“おれは男だ!”の再放送を行わないんだっ!(怒)」に出演者の番組ディレクター氏は一般的な番組の権利の仕組みについて丁寧に解説して、結論として「たまたま、偶然、なんとなく」という至極当然の回答となったのですが、それを拾い上げるカタチで、北野誠氏はしっかりそれをうっちゃって、上手くいじり、オチをつけて、笑いにもっていくんですよ。

はっきり言って、質問だけで言えば「電波」の部類にカテゴライズされかねない内容だし、出演者(回答者)のディレクター氏からすれば「放送局の社員だというだけで担当部署も全然違うのに、何でそんなこと俺に聞くねん!知るか!」って普通ならなるところを、丁寧に面白おかしく説明した上、その質問者に「なぜ君は“おれは男だ!”にこだわるの?」と逆質疑応答で、丁寧に、間違ってもロンドンブーツみたく明確に差別構造化する手法ではなく、敬意を込めた正攻法で質問者の心の解きほぐしてネタにし、絶妙なタイミングできっちりオチをつけて締めるのです。

私なんか、現在20代前半だけど70年代・80年代のJ-Rockのファン、つうことでこういう趣味について話せる同世代の友人なんか一人もいないもんだから、(そもそも趣味についてどころか、社会的存在としても友人なんか一人もいないんだけど)こうやってBlogに自分の好きなものについての一家言をあてもなく書き散らしてその寂しさをまぎらわせているのですが、ホンネとしてはWebなんかより、現実にフェイス・トゥ・フェイスで向き合ってそれについて会話でできたらなぁ、と思うこともあります。

そういった意味で、非一般的嗜好を持ったモノ好き人間同士として思うに、「なぜ朝日放送は“おれは男だ!”の再放送を行わないんだっ!(怒)」という質問にがっぷり四つに組んで、ショウ・アップしてくれるというのはフツーの価値観からこぼれ落ちてしまったアウトサイダー達への愛情に他ならず、質問者氏など、秘密ではないけど周りの誰にも話すことができない自分の好きなものに対する鬱屈した感情を昇華してもらえたのではないでしょうか。

この番組のエンディング・テーマはルー・リードの“コニー・アイランド・ベイビー”です。ホモ、レズ、おかま、ヤク中にアル中、ロックンローラーなど、偶然か何かの因果かで図らずも社会からハミ出してしまった連中をやさしく歌い上げるルー・リードをエンディングに持ってくることで象徴しているようにどれだけアブナイ内容のトーク・ショウをしていても、根底に根付いているのは他ならぬ「愛情」そのものである、そんなサイキック青年団の原点を再確認した円山野音でした。



   -----------------------------------

<参考LINK>

サイキック青年団 公式WebSite http://abc1008.com/psychic/frame.html
●猫の靴下 竹内義和公式WebSite http://takeuchi.tv/